ならの実 NARANOMI Renewal Open その1
前回こちらにアップしました奈良にある「ならの実」さんのリニューアルオープン後の撮影に行ってきました。
扱われているのは職人・作家さんの商品からピリッとしたデザインの多種多様な日用雑貨を販売されています。
場所は一枚目の写真からわかるように興福寺の五重塔から目と鼻の先にあります。
1階はファサードに設けた格子状の袖壁が、既存ガラスサッシの内外を挟み込むカタチで設置することで、表を行きかう人たちに印象づけ、かつ引き込むよう意図しました。
奈良の古い建物には、奈良格子(法蓮格子)と呼ばれる主に丸太や太目の角材を使用した格子があり、今回のリニューアルでファサードに表情をつける意味合いで奈良格子をモチーフとした袖壁としました。またこの格子は店先から店内までうっすらと白でグラデーション塗装とすることでより人を引き込むイメージと、ならの実さんのピリッとした商品を扱われている様を塗装仕上げで表現しました。
格子壁と一体となった陳列台は、移動・取り外しが可能になっており、イベント事にも対応できます。
1階店内は、壁床天井は原則既存のままとしコスト削減と短い工期を考慮しました。
照明計画は適切な灯数で見直し、ディスプレイに関しては中央の島什器以外は全て造り付けとして、商品に目がいくように素材・色味・寸法を見直し、統一感のあるシンプルな空間になっています。
派手さはないですが、既存を活かして微調整を積み重ねることで、空気感として伝わるものがあると考えています。
2階への階段は、これまで2階が同じお店であると認識してもらえないとお聞きしていたので、見る角度により階段をさりげなくも主張するようなアーチをかけました。
階段自体の仕上げも手すりと床材と照明を見直すことで、先のアーチを含め2階に上がりたくなる工夫を施しています。
つづく...
ならの実 NARANOMI Renewal Open その2
2階はリニューアルオープン前の記事と重複しますが、「置く・収納する・吊るす等々」多様な展示で対応できるように天井以外は一部壁を除いて、壁・床は既存のままとしています。1階と同じくコストと工期を考慮したものとなっています。
勾配天井面は既存照明器具等をほぼ撤去して極力フラットな面をつくることで基礎照明となる間接光の妨げにならないように整理しています。
既存の勾配天井の解放感は捨てがたかったのですが、間口に対して奥行が長いことで単調な空間であったことを考慮し、あえて頭上には約1mピッチで梁状の造作を設けてリズム感とメリハリをつけました。合わせて、どの場所にもスポットライトや吊るす展示を行えるようなものになっています。また部分的に可動式のパーテーションの吊りレールを仕込むことでファブリックの販売に使用できたり、間仕切りとしても利用できるものとなっています。
この梁状の造作が長いこの空間の新たな骨格のような役割を果たし、2階全体の統一感を強固にしていると同時に、僕自身は森の中にいるような心地よさも感じました。
1階、2階共に商品であるペンダント照明器具がいろんな”場”を生み出してくれています。
以下改装前です。写真ではなかなか伝わらないのでぜひお店に行ってみてくださいね。
現在店頭では、「小鹿田焼のうつわ展」もされていますよ。
『ならの実』