村松英和デザインのBLOG

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K邸 カップボード


納品させていただいたのはすっかり前になってしまいましたが、個人宅のカップボードのご依頼をいただきデザインさせていただきました。
きっかけは昨年デザインさせていただいた「自家焙煎店 カフェデコラソン」さんの厨房家具を気に入っていただきご依頼いただきました。




「自家焙煎店 カフェデコラソン」さんの記事はこちら

http://d.hatena.ne.jp/yururilife/20130313/1363174774




初めてお会いさせていただいた頃は、お客さんのご自宅は他業者さんによる改装工事真っ只中でキッチン収納だけ決まっていませんでした。
そのような状況でご依頼いただいたことはデザイナー冥利につきるとっても幸せなことです。


主なご要望としては、

・コラソンさんの家具デザインをベースに、白基調としたい
地震時に中の食器等が飛び出しにくい構造としたい
・卓上でご使用されるキッチン家電はトースターとハンドミキサーのみ(お米は土鍋で炊き、電子レンジは使われない)

ということでした。


それらに対し、扉正面部分はご要望通りの白とし、カウンター天板と扉枠は床材やダイニングセットがオーク材であったのでナラの無垢材としました。
これにより空間に調和したカップボードになりました。



カウンター収納(下部)は、地震を考慮し引き戸仕様としました。
家具製作者と相談の上、しっかりとした下部の真鍮のレールと戸車によるシンプルな構造とすることで長く使って頂けるように配慮しています。





吊戸棚(上部)はシンプルな構造と使い勝手から開き戸としました。
開き戸にした場合、どうしても強い地震時に内容物が落ちてくる可能性が高い。
そのためいわゆる耐震金物(耐震ロックの金物は思った以上に大きくてプラスティック性のものがほとんどなので開く度に気になる方もいらっしゃいます)ではなく、比較的見栄えもよくシンプルな構造のロックがかかる金物を流用しました。





また今回お客さんがキッチン家電をあまり使わない調理をされているため、その分吊戸棚を低い位置で設置できました。
それにより一般的に台にのらないと中のものが取れず使わなくなってしまいがちな吊戸棚ではなく、立った状態で手の届く範囲をきちんと収納として使える吊戸棚とさせていただくことができました。




他にも細かな部分までお客さんと製作者とご相談しながらカタチにしていきました。

使い勝手と見え方の双方のバランスをお客さんと一緒に探っていく作業は時間がかかるけどおもしろい。
それは人によって快適さ(便利or不便の価値観)や見え方などなど、人のとらえ方のバランスは本当に様々だから。

うまく書けませんが、快適さを数値や一般的な習慣でとらえ過ぎてしまうと「その人らしい暮らし方」がほんの少し見えにくくなるように思えます。
もちろんその逆(見栄えばかりを優先)もしかり。

特に数値や常識は大いに活用すべき道具だと思うのですが、あくまで道具なのでその人によって使い方が違うというところが人それぞれの「暮らし方」、「個性」だったりするのかもしれないなあ。



製作者:knot furniture produce
デザイン・設計:村松英和デザイン
photo by Hideyuki Koyama ※最上部画像一枚のみ村松撮影


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